九 本府催延末酒肴請取状
本府催之十八人
酒肴一具事
右任二先例一所二請取一如件、
(1326)
嘉暦元年
本府催延末(花押)
「書き下し文」
本府催すの十八人
酒肴一具の事
右先例に任せ請け取る所件のごとし、
「解釈」
本府が集めた十八人の酒肴の品一式のこと。
右、先例どおりに以上のものを受け取りました。
「注釈」
「本府」─六衛府で、その当該の府をさしていう(『日本国語大辞典』)。どの役所を
指しているのかはわかりません。
「酒肴一具」─もてなしの品一式か。
*六衛府のどこかの役所に集められた役人の給分のようなものを、久嶋郷の刀禰らが納
めたことに対する領収書のようなものだと思います。
*同様の文書は、山口県の「安尾家文書」
http://bunkazai.pref.yamaguchi.lg.jp/bunkazai/detail.asp?mid=90044&pid=gs_tu1、
鹿児島県の「比志島氏文書」
にもあるようです。
*池享「中世後期における「百姓的」剰余取得権の成立と展開 」『大名領国制の研究』
(校倉書房、一九九五)、https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/handle/10086/18661)
に、この文書に関する言及があり、久嶋郷の本所は京都の皇室関係であったと推測さ
れています。