八 小早川弘景寄進状
東禅寺御寺領段銭之事、権律師増威御一期之間、奉二為年始歳末之愛染供一
寄進者也、如レ此申定候上者、雖二公方之儀一不レ可レ有二違乱一候、然者子孫長久
奉レ憑二御祈祷一候也、恐々敬白、
寛正五(1464)
十二月十五日 弘景(花押)
東禅寺 進覧候
「書き下し文」
東禅寺御寺領段銭の事、権律師増威御一期の間、年始歳末の愛染供のおんため寄進する者なり、此くのごとく申し定め候ふ上は、公方の儀と雖も違乱有るべからず候ふ、然れば子孫長久の御祈祷を憑み奉り候ふなり、恐々敬白、
「解釈」
東禅寺領から徴収する段銭のこと。権律師増威が院主を務めている期間は、年末年始の愛染明王供養法会のために寄進するものである。このように決定し申し上げるうえは、幕府の裁決であっても、取り決めを破ってはなりません。したがって、子孫長久の御祈祷をお頼みの申し上げるのであります。以上、謹んで申し上げます。
「注釈」
「増威」
─未詳。なお「御一期」も、どういった役職に就任している期間なのかわかりませんが、一応、東禅寺院主職と推測しておきました。
「公方」
─どの権力を指すのか確定できませんが、一応、幕府と推測しておきます。