四八 ゑもん四郎質地證文
(端裏書)
「来年よりのわたし状如レ件」
(質物) (けヵ)
来年より申うくるしちもつの事、⬜︎年よりう⬜︎⬜︎り申處實也、
合田六反
(無沙汰) (来年) (当年)
右件ふさたなく、らいねんよりのしちもつとうねんよりまいらせ候間、らいねんにな
り候ハ丶、とうねんよりまいらせ候ことく、ふさたなく候弁申候へく候、仍後のさた
のために状如レ件、
(1399)
應永六年つちのとのう 四月五日
くしまのならハらの ゑもん四郎(花押)
「書き下し文」(可能な限り漢字仮名交じりにしました)
(端裏書)
「来年よりの渡状件のごとし」
来年より申し請くる質物の事、⬜︎年より請け⬜︎り申す處実なり、
合わせて田六反、
右件無沙汰無く、来年よりの質物当年より進らせ候ふ間、来年になり候はば、当年より進らせ候ふごとく、無沙汰無く候ひ弁じ申し候ふべく候ふ、仍て後の沙汰の爲に状件のごとし、
「解釈」
(端裏書)
「来年からの渡状は以上のとおりである」
来年からあなたが請け取り申し上げる質物のこと。今年からあなたが請け取り申し上げることは事実である。
都合田六反。
右の田地の件ですが、何もしないままでいることなく、来年から引き渡す予定だった質物を、今年からあなたに引き渡すのですから、来年になりましたなら、今年から引き渡しているように、ほったらかしにすることなく、あなたが弁済し申し上げなければなりません。そこで後日の訴訟のため、渡状の内容は以上のとおりです。
「注釈」
「ゑもん四郎」─衛門四郎。未詳。
「弁申」─弁済・支払い。何を支払うのかはっきりしません。年貢・公事・その他雑
役、中間得分、あるいは借金の返済かもしれません。