五 小早川氏奉行人連署書状
神保五郎方愁訴之儀、當時無二御闕所等も一候へ共、㝡前御約束之由候、又旁以
御申之条、十貫文之地御打渡被レ遣候、此由可レ被二仰聞一候、恐惶謹言、
九月廿二日 春忠(花押)
景道(花押)
(捻封ウハ書)
「 磯兼左近大夫
井上又右衛門尉
(乃美宗勝)
兵部丞殿 参人々御中 春忠」
「書き下し文」
神保五郎方愁訴の儀、当時御闕所等も無く候へども、最前御約束の由候ふ、又旁々以
て御申すの条、十貫文の地御打ち渡し遣はされ候ふ、此の由仰せ聞けらるべく候
ふ、恐惶謹言、
「解釈」
神保五郎方の愁訴の件について、当時御闕所の地はなかったのですが、最初から(土地を給与する)お約束がありました。また、あれこれと訴え申し上げなさるので、十貫文の地を引き渡し遣わしなさるつもりです。この内容を乃美殿から神保五郎へ言い聞かせなさるべきであります。以上、謹んで申し上げます。
*書き下し文、解釈ともに、よくわからなところがあります。
「注釈」
「闕所」─①欠けている不十分なところ。②持ち主のない土地。中世に罪を犯して没収
されたり、裁判で改替されたりした荘園の諸職。③中世に財産を没収するこ
と(『古文書古記録語辞典』)。