一四 清唯外三名連署規式写 ○住持記ニヨル
当寺入牌之本銭四十貫文之外、若有二入牌銭重出現一者、宜下加二彼本銭一番々度上レ
之、雖レ然或換二殿堂之上葺一或企二新造之大事一之時、住持番衆相共評議而取二彼
本銭之外加之余分一、以可レ用レ之、然後以二某人入牌銭一、某殿堂修造用之言宜下
載二于入牌帳一、以貽中有功於不朽上矣、或復称二小破之修理一、号二斎供之
闕乏一、以至二歳節祖忌之費煩、塩醤油麻之不足等一、一々不三許二用之一、何況於二
余瑣細之事一乎、故以二衆評議一、永為二当寺不易之規式一、若有二違犯一者宜レ加二
擯罸一者也、
(三十四年・1427)
衆悉 応永〈丁未〉八月廿五日 安心
玄胤
真知
清唯
「書き下し文」
当寺入牌の本銭四十貫文の外、若し入牌銭重ねて出で現るること有らば、宜しく彼の本銭に加へて番々之を渡すべし、然りと雖も或いは殿堂の上葺を換へ、或いは新造の大事を企てしの時は、住持・番衆相共に評議して彼の本銭の外加ふる所の余分を取りて以て之を用ふべし、然して後某(なにがし)人の入牌銭を以て、某(そこ)の殿堂の修造に之を用ふる、之の言は宜しく入牌帳に載せて以て功有ることを不朽に貽すべし、或いは復た小破の修理と称し、斎供の闕乏と号し、以て歳節・祖忌の費煩、塩・醤油・麻の不足等に至るまで一々に之を用ふることを許さず、何に況んや余の瑣細の事に於いてをや、故に衆の評議を以て、永く当寺不易の規式と為す、若し違犯の者有らば宜しく擯罸を加ふべき者なり、
衆悉くせよ。
「解釈」
当寺入牌の本銭四十貫文以外に、もし入牌料が重ねて納められることがあれば、この本銭に加えて各番にそれを渡すのがよい。そうではあるが、殿堂の屋根を葺き替えたり、あるいは新築の大事業を計画したりしたときには、住持と番衆がともに評議して、この本銭の外に加えられた余分の銭も取り、それを使用するべきである。その後、誰かの入牌料をもって、どこそこの殿堂の修理・造営に用いる。この言葉は入牌帳に載せ、修造の功績があることを永久に残すのがよい。一方ではまた、ちょっとした破損の修理と称したり、斎食が欠乏したと主張したりして、歳末や節日、祖師の忌日の出費、塩・醤油・麻の不足などに至るまで、一々これを用いることを許してはならない。ましてその他の些細なことについては、なおさら用いることを許してはならない。したがって、評定衆の評議により、永久に当寺不変の規則とする。もし違犯する者がいれば、追放して罰するのがよいのである。
僧衆は悉くこの規則を守れ。
*書き下し文・解釈ともによくわからないところがあります。
*『仏通寺住持記』にはほぼ同文の文書が書き写されています。その返り点や送り仮名を参考にして、書き下し文や解釈を作っています。
なお、この文書については「仏通寺住持記 その10」でも紹介しています。