延徳二年(1490)十一月三日条 (『晴富宿禰記』151頁)
三日辛巳 晴
(中略)
夜前南禅寺早鐘物忩之間、遣人之処、以前擯出之僧欲帰入、不可叶之由大衆蜂起
云々、冬至也、
「書き下し文」
三日辛巳 晴る、
(中略)
昨晩南禅寺早鐘物騒の間、人を遣はすの処、以前擯出の僧帰り入らんと欲す、叶ふ
べからざるの由大衆蜂起すと云々、冬至なり、
「解釈」
三日辛巳 晴れた。
昨晩南禅寺の早鐘が打たれ物騒だったので、人を遣わしたところ、以前に追放され
た僧が南禅寺に帰ろうとした。望みどおりにはならないと大衆が蜂起したそうだ。
冬至のことであった。
【コメント】
以前に南禅寺から追放された僧侶が帰参しようとしたが、それを全力で大勢の僧侶たちが阻止した記事です。いったん追放されると、基本的には戻ってくることはできないようです。追放された僧侶は、いったいどこで何をして暮らしていたのでしょうか。気になります。