十 小早川興景申渡状
依二蟇沼寺一四分一之儀、度々蒙レ仰分特寄進状披見候、更以雖下不レ及二分別一
候上、貴僧之儀者、別而御辛労事候条、為二其賞一、向後者四百疋之内百疋合力
申候之間、三百疋御納専一候、弥祈念之儀可レ為二肝心一之状如レ件、
(1535)
天文四年八月五日 興景(花押)
「書き下し文」
蟇沼寺より四分の一の儀、度々仰せを蒙る分特に寄進状披見し候ふ、更に以て分別に及ばず候ふと雖も、貴僧の儀は、別して御辛労の事候ふ条、其の賞として、向後は四百疋の内百疋を合力し申し候ふの間、三百疋の御納め専一に候ふ、いよいよ祈念の儀肝心たるべきの状件のごとし、
「解釈」
蟇沼寺から、四分の一の件に関してたびたびご指示を承った内容については、特別に寄進状を拝見しました。まったくもって道理を考えるまでもないことですが、あなた様の件については、とりわけご苦労なさることがありましたので、その褒賞として、今後は四〇〇疋のうち一〇〇疋を援助し申します。したがって、残る三〇〇疋をお納めになることが第一です。祈祷の件をますます重要であると思わなければなりません。